神奈川第1の防衛線・丹沢ヤビツ峠…コースは2車線・そして1車線とが複雑に絡み合うコースだった。
まずは上りから。啓介に立ちはだかるのはチーム246の小早川。彼が駆るのは当時のランエボの最新鋭機・エボⅦである。ただし仕様車ではなくベースモデルなのはご容赦願いたい。
左奥・Autoart 三菱・CT9A ランサーエボリューションⅦ 小早川搭乗車 ダンデライオンイエロー
右手前・フジミ模型 マツダ・FD3S RX-7 高橋啓介仕様 後期型
啓介先行・小早川後追で始まったこのバトル、小早川はコースが低速ステージであることを鑑みて、FR相手に加速勝負で負ける心配はないと予想。「1本目は様子見、2本目は勝負」という作戦を立てた。
小早川「高速区間ではさすがに走りはいいな。だが…何かが足りねえ。」
そしてタイトな1車線区間に入り、その力をこう評する

小早川「乗り手の存在感が希薄すぎるんだ…その程度か、高橋啓介…!」
プロジェクトDがドライバーの能力よりクルマ作りを含めたチームとしての総合力が要因だったと判断する。
一方で先行する啓介は
啓介「オレの仕事の半分は、もう昨日の(プラクティスの)うちに終わってるんだ…」
涼介と決めた作戦は、後半の高速セクションでスパートをかけること、そのためにクルマの仕上がりとコースの攻略を高いレベルでプラクティス(練習走行時)から完成させておくということであった。またFDのセッティングも、ここ一発のスプリントの切れ味重視で、FDの特性上ピーキーかつスピンに至るまでのコントロール幅が狭い足まわりになっているため、長時間のプッシュは不可能だった。現に涼介もこう述べている。
涼介「ゴール寸前、時間にして2分から3分くらいかな。ゾーンに入った啓介のトップスピードに相手がついてこれるようなら、このバトルは啓介の負けだ。」
そして道幅が狭く視界も悪い区間に突入すると、小早川は
「いくらなんでもここでスパートはないだろう」
と思ったその刹那……!
啓介スピードアップ。
これを見てすかさずアクセルを全開にしてFDを追う小早川だが、コーナーでFDに引き離されていく。
最後の低速区間に入り、小早川は「もう一度くっつけば…まだ2本目がある…!!」と言うのだが、
小早川「絶対にもう一度……追いつかなきゃいけねぇんだよ!!」
ところが、差は縮まらないどころか、小早川のエボVIIがいくら踏ん張ろうとも、啓介の集中力と本気のラストスパート、圧倒的逃げ切り勝ちを収めたのである。
このバトルを見届けた「サイドワインダー」のメカニック、久保も
「ランエボやインプレッサ乗りはラリーの実績から公道でも最強と思いあがっているもんや。勝つのは…」
と述べており、啓介の勝ちを読んでいたようであった。