高橋啓介戦後、拓海に挑戦したのが隣の山・妙義をホームとするチーム「妙義ナイトキッズ」のリーダー・中里毅だった。
場所は再び秋名。中里が駆るのは天下の名車・R32 スカイラインGT-Rで、中里先行・拓海後追いで始まる。

左手前・インターアライド「MODELER’S」 日産・BNR32 スカイラインGT-R VspecⅡ中里毅仕様 ブラックパールメタリック
右奥・フジミ模型 トヨタ・AE86 スプリンタートレノ GT-APEX 藤原拓海仕様(初期型) ハイテックツートーン
このバトルは馬力面では圧倒的に中里が上だった。380ps。パワーはハチロクを上回る。
しかし、弱点はあった。拓海が中里戦に挑む前、父・文太がどこかへ外出していたが、それがハチロクの対GT-R戦セッティングのため、おそらく文太の旧友・政志の工場に行っていたのだろう。
拓海出発後、文太は祐一店長との電話で、そじて同時にこのバトルの観戦に訪れた高橋涼介も弟・啓介に語ったのが、GT-Rの弱点だった。
文太「R32 GT-Rの弱点……そりゃズバリ、ボディの重さだろう。」
涼介「スーパーフロントヘビーだから、必ずタイヤが苦しくなる。」
文太「麓に来る頃にはおそらくアンダーステアとの格闘になっているはずだろう。勝負所は後半の突っ込み勝負だ。」
涼介「それまでにハチロクがどこまでついて来れているかが、このバトルのキーポイントだ。」

「さあ行くぞ。シートベルト、締めておけよ。」
このバトルでは涼介も助手席に啓介を乗せて、二台を追走。特等席での見物と相なった。
快調に飛ばしていく中里のR32。
「この俺に…ついて来れるわけがねぇぜ!」
しかしこの秋名、コースの妙があり、前半は比較的ストレートも長めで勾配もゆるやかで拓海AE86には不利な条件が多いのだが、後半がなんと勾配がキツくなってくるので、反撃はそこからになるのだった。
中盤、拓海は
「違う…なんか違う…クルマの感じ」
と、父・文太が行ったセッティング変更に気づく。足まわりがすこし引き締められたことで、
「踏んでもクルマが乱れない…今までよりもワンテンポ早く踏める」
とすぐにクルマの特性をつかんで行く。
「溝落とし」も駆使しつつ、走りのポテンシャルを一段上げたことで、前方を走る中里がプレッシャーを受け始める。後方で追走する高橋涼介もそれまでのように隣の啓介に話しかけることがなくなるほど、本気のドライブになっていた。

「くっ……フロントタイヤに泣きが入ってきたか…!」
そして決着は5連続ヘアピンでだった。
溝落としを狙う拓海AE86に対し、中里R32はさせまいとインをブロックするように走るが、これに対し逆に外からパスしようと試みるハチロク。
「外からだと!?」
直後、中里が一瞬の隙を見せてアンダーステアを出してしまったところを、拓海AE86はインに潜り込む。

ラインクロスでインをつく!
そして差し切った直後、中里のフロントタイヤがついに限界となってハーフスピン。ここで競走中止となってしまった。

「板金20万コースか……」
ダウンヒルではただでさえ「軽いクルマ」が有利で、拓海AE86は940kg、中里R32GT-Rは1480kgと、ボディの重さもやはり災いしたようである。このバトルのせいか、R32をはじめとするスカイラインGT-Rは「重いクルマ」の代名詞的存在になってしまったともいえる。
実際、後に登場する中里以外のGT-R使いである「ゴッドフット」星野好造、「死神」北条凛もボディの重さで不利的な状況が描かれていた。
昨今主流の1/64ならば中里仕様はインターアライド「MODELER’S」のVol.18で初モデル化されている。この拓海戦を再現することも可能だ。